成分の解説を読んでいると「旧表示指定成分」という言葉に出会うことがあります。かつて化粧品に表示が義務づけられていた成分のことですが、「旧指定成分=危険」と受け取られがちな言葉でもあります。この記事では、制度の歴史と全成分表示への移行、そして現在の正確な位置づけを整理します。
30秒でわかるまとめ
| 結論 | 旧表示指定成分とは、1980年から2001年まで、配合した場合に表示が義務づけられていた102成分+香料のこと。「体質によってはアレルギー等を起こすおそれがある」として注意情報の表示を求めた制度でした。 |
| ポイント1 | 2001年の全成分表示制度の開始にともない制度は廃止され、「旧」表示指定成分と呼ばれるようになりました。 |
| ポイント2 | 「旧指定成分=危険」「指定外=安全」ではありません。指定成分の多くは防腐剤や界面活性剤など製品の品質維持に必要な役割を持ち、指定外の成分にも注意が必要なものはあります。 |
| ウラミルでは | 旧表示指定成分に該当することを「要確認」判定の根拠のひとつとして扱っています。「避けるべき」ではなく「自分の体質と照らして確認を」という意味です。 |
「表示指定成分」制度とは何だったのか
1980年(昭和55年)、当時の厚生省は、化粧品に配合される成分のうち「アレルギーなどの皮膚障害を起こすおそれがある」とされた成分について、配合した場合に容器や外箱へ成分名を表示することを義務づけました。これが「表示指定成分」制度です。当初は103成分でスタートし、その後の追加や整理を経て、最終的には102成分と香料が対象になっていたとされています。
当時は現在のような全成分表示の仕組みがなく、消費者が製品に何が入っているかを知る手段が限られていました。そこで、特に注意情報を伝えるべき成分を国が選び、それだけを表示させる、という考え方が採られたようです。対象には、パラベン類などの防腐剤、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、一部の油剤や色素などが含まれていました。
「指定成分表示」時代の化粧品には、成分欄に数個の成分名だけが書かれていました。当時の消費者にとっては「表示されている成分=注意が必要な成分」というシンプルな読み方だった、と言えそうです。
2001年、全成分表示制度への移行
2001年4月、薬事法(現在の薬機法)の改正にあわせて、化粧品の全成分表示制度が始まりました。これにより、配合されているすべての成分を表示することになり、一部の成分だけを表示させる表示指定成分制度は役割を終えて廃止されました。これ以降、かつての指定成分は「旧表示指定成分」「旧指定成分」と呼ばれています。
移行の背景としては、EUや米国ではすでに全成分表示が行われており、国際的な整合性が求められたこと、化粧品の製造販売が承認制から届出制へと規制緩和され、企業が自らの責任で安全性を確保する仕組みに変わったこと、などが挙げられることが多いようです。全成分を表示することで、消費者が自分の体質に合わせて成分を選べるようにする、という考え方への転換だったと理解できます。
「旧指定成分=危険」ではない理由
旧表示指定成分は、「体質によってはアレルギー等を起こすおそれがある」という注意情報を伝えるために表示が求められた成分です。「配合してはいけない成分」「多くの人に害がある成分」として指定されたわけではない、とされています。実際、パラベン類や一部の界面活性剤は現在も広く使われており、製品の品質を保つうえで欠かせない役割を担っているものも少なくありません。
また、指定外の成分が安全という意味でもありません。指定は1980年の時点の知見に基づいており、その後に登場した成分や、後から注意情報が集まった成分は含まれていないためです。「旧指定成分不使用」という表示を見かけることがありますが、これは「1980年当時に指定された成分を使っていない」という事実を示すものであり、それだけで刺激が少ないことを意味するわけではない、と考えておくのがよさそうです。
パラベンを例に考える
旧表示指定成分の代表例としてよく挙げられるのがパラベン類です。パラベンは防腐剤として長い使用実績があり、配合量の上限も定められています。一方で、ごく一部の人にはアレルギー反応が報告されており、それが指定の理由と考えられます。「多くの人には問題なく使えるが、合わない人もいる」というのが、旧指定成分の典型的な姿と言えるかもしれません。
ウラミルの「要確認」判定との関係
ウラミルの成分辞典では、旧表示指定成分に該当することを「要確認」判定の根拠のひとつとして扱っています。これは「避けるべき成分」という意味ではなく、「アレルギー等の注意情報がある成分なので、気になる人は自分の体質と照らして確認してほしい」という意味です。
過去に肌トラブルを経験した成分が旧指定成分に含まれているなら、それを避ける判断は合理的と考えられます。逆に、これまで問題なく使えている製品に旧指定成分が入っていたとしても、それだけを理由に使用をやめる必要はない、というのがウラミルの立場です。判定はあくまで「知るための入り口」として使ってください。
よくある質問
- 旧表示指定成分の一覧はどこで確認できますか?
- 1980年当時の厚生省告示に基づく一覧が、各種の化粧品解説書や業界団体の資料で紹介されています。ウラミルの成分辞典でも、該当する成分には旧表示指定成分である旨を記載していますので、気になる成分名で検索してみてください。
- 旧指定成分が入っている製品は避けたほうがよいですか?
- 一律に避ける必要はないとされています。注意情報がある成分の一覧であって、危険性の一覧ではないためです。過去に合わなかった成分がある場合はそれを避け、初めての製品はパッチテストをする、という使い方が現実的と考えられます。
- 全成分表示になって、かえって分かりにくくなった気がします
- 成分数が増えたことで、注意すべき成分が埋もれて見える、という声はあるようです。だからこそ、旧表示指定成分のような「注意情報の目印」を知っておくと、長い成分表示の中から確認すべき成分を拾いやすくなるかもしれません。
まとめ
旧表示指定成分は、1980年から2001年まで表示が義務づけられていた102成分+香料であり、「アレルギー等の注意情報がある成分の一覧」という位置づけです。「旧指定成分=危険」「指定外=安全」ではありません。全成分表示の時代になった今は、この一覧を「確認すべき成分の目印」として活用し、自分の体質と照らして判断する。ウラミルの「要確認」判定も、その考え方に沿って設計されています。

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