歯磨き粉の量、なんとなくの感覚で決めていませんか? 実は2023年、日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会など4つの学会が合同で、フッ化物配合歯磨剤の「年齢別の使用量」と「すすぎ方」の推奨を公表しました。厚生労働省のe-ヘルスネットでも紹介されている公的な情報です。この記事では、その内容をわかりやすく整理します。
30秒でわかるまとめ
| 結論 | 6歳以上は歯ブラシ全体(1.5〜2cm程度)が推奨量。すすぎは少量の水で1回程度が推奨されています |
| ポイント | 年齢によって推奨される使用量とフッ化物濃度の目安が異なる。濃度はパッケージで確認できる |
| 注意したい人 | 6歳未満の子どもがいる家庭。高濃度(1500ppm)の歯磨剤は6歳未満への使用が推奨されていません |
2023年に公表された「年齢別の使用量」の推奨
2023年1月、日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会の4学会は、合同で「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」を公表しました。むし歯(う蝕)予防の観点から、年齢ごとに使用量とフッ化物濃度の目安を示したもので、厚生労働省の情報サイト「e-ヘルスネット」でもフッ化物配合歯磨剤に関する情報が紹介されています。
推奨されている年齢別の目安は、次のとおりです。
| 年齢 | 使用量の目安 | フッ化物濃度の目安 |
|---|---|---|
| 歯が生えてから2歳 | 米粒程度(1〜2mm程度) | 1000ppmF(900〜1000ppmF) |
| 3〜5歳 | グリーンピース程度(5mm程度) | 1000ppmF(900〜1000ppmF) |
| 6歳〜成人・高齢者 | 歯ブラシ全体(1.5〜2cm程度) | 1500ppmF(1400〜1500ppmF) |
6歳以上は「歯ブラシのヘッド全体にのせる程度」とされており、これまで少なめに使っていた人にとっては「思ったより多い」と感じる量かもしれません。なお、日本で市販される歯磨剤のフッ化物濃度の上限は1500ppmで、濃度は製品のパッケージや成分表示(フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムなど)で確認できます。
4学会の推奨では、6歳未満の子どもには高濃度(1000ppmFを超える)の歯磨剤を使用しないよう案内されています。子ども用と大人用を家庭内で使い分ける場合は、パッケージの濃度表示を確認する習慣をつけたいところです。
すすぎは「少量の水で1回程度」が推奨されています
意外に思われるかもしれませんが、歯磨きのあとに何度も口をゆすぐことは、この推奨では想定されていません。うがいを繰り返すほど、せっかく口の中に行き渡ったフッ化物が流れてしまうためです。
4学会の推奨では、歯磨き後は歯磨剤を吐き出し、大さじ1杯程度(5〜15mL)の水で1回だけすすぐ方法が示されています。うがいができない場合は、吐き出すだけでもよいとされています。また、就寝前を含めて1日2回の歯磨きが挙げられています。
「口の中に歯磨き粉の味が残るのが苦手」という人も少なくありませんが、泡立ちや香味の穏やかな製品を選ぶと続けやすい、という声もよく聞かれます。
磨いた直後の飲食はどう考える?
学会の資料では、歯磨き後1〜2時間程度は飲食を控えることが望ましい、という記載もあります。これは、口の中に残ったフッ化物をできるだけ長くとどめるという考え方に基づくものです。
現実の生活では難しい場面もありますが、「就寝前の歯磨きのあとは何も飲食しない」というタイミングであれば、多くの人が無理なく実践しやすいのではないでしょうか? 就寝前の歯磨きが重視されるのは、寝ている間は唾液の分泌が減るため、といった説明がよくなされています。
「歯磨き後にティッシュなどで歯磨剤を軽く拭き取ってもよい」という方法も、小さな子ども向けの工夫として推奨資料の中で触れられています。うがいがまだ上手にできない年齢の子どもに役立つ知識です。
よくある質問
- 泡立ちが少ない歯磨き粉でも汚れは落ちますか?
- 泡立ちの強さと清掃の実感は別のもの、と説明されることが一般的です。泡立ちは主にラウリル硫酸Naなどの発泡剤によるもので、泡が多い=よく磨けているとは限らない、という考え方が広く紹介されています。
- フッ化物が入っていない歯磨き粉を選んでもいいですか?
- どの製品を選ぶかは個人の自由です。ただし、公的な推奨はフッ化物配合歯磨剤のう蝕予防効果を前提に組み立てられています。気になる場合は、かかりつけの歯科医院に相談するのが確実です。
- 電動歯ブラシでも量は同じですか?
- 推奨は歯磨剤の量として示されています。電動歯ブラシは製品ごとに使い方の案内が異なるため、本体の取扱説明書とあわせて確認するのがよいでしょう。
まとめ
2023年の4学会合同推奨では、6歳以上は歯ブラシ全体(1.5〜2cm程度)・1500ppmFの歯磨剤が目安とされ、すすぎは少量の水で1回程度が推奨されています。年齢別の量と濃度、そして「ゆすぎすぎない」——この3点を押さえるだけで、毎日の歯磨きの考え方が変わるかもしれません。
歯磨き粉のパッケージには、フッ化物濃度をはじめ多くの情報が書かれています。次に買い替えるときは、裏面の表示をじっくり眺めてみてはいかがでしょうか?

コメント