ふけ用シャンプーの有効成分として世界的に使われてきた「ジンクピリチオン」。日本では今も医薬部外品の有効成分として承認されていますが、EUでは2022年3月から化粧品への使用が禁止されました。「危険」「安全」のどちらかに寄せず、両方の公的情報を正確に押さえましょう。
30秒でわかるまとめ
| ウラミル判定 | 🔍 要確認レベル3/3 |
| どんな成分? | 亜鉛とピリチオンの錯体。抗真菌・抗菌作用があるとされ、ふけの一因とされる常在菌マラセチア属の増殖を抑える目的でふけ・かゆみ用シャンプーに使われてきました。 |
| 公的な評価 | 旧表示指定成分。日本では医薬部外品の有効成分として「ふけ・かゆみを防ぐ」効能が承認され、化粧品としては上限付きで認められています。一方、EUでは2022年3月からCMR分類(生殖毒性1B)を理由に化粧品への使用が禁止されています。 |
| 注意したい人 | 妊娠中・授乳中で成分の背景が気になる人、頭皮に傷や炎症がある人、抗菌成分でかぶれた経験がある人、EU基準で製品を選びたい人。 |
ジンクピリチオンとはどんな成分?
ジンクピリチオン(ピリチオン亜鉛)は、亜鉛イオンとピリチオンという分子が結合した錯体です。真菌や細菌の細胞膜の働きを妨げ、増殖を抑えるとされています。1960年代からふけ用シャンプーに使われており、海外の大手ブランドの製品にも長く配合されてきた実績があります。
ふけの一因とされる常在菌マラセチア属は皮脂を栄養にして増えるため、その増殖を抑えることでふけやかゆみを防ぐ働きが期待される成分です。同じ目的の成分にピロクトンオラミンがあり、日本の薬用シャンプーではこの二つが有効成分の中心となっています。
成分表示では「ジンクピリチオン」または「ピリチオン亜鉛」と記載されます。旧表示指定成分の一覧にも含まれていた成分で、全成分表示が義務化される以前から、皮膚障害のおそれがあるとして表示が求められていました。
日本での公的な位置づけ
日本では、ジンクピリチオンは医薬部外品(薬用シャンプー)の有効成分として承認されており、承認された効能は「ふけ・かゆみを防ぐ」の範囲です。化粧品としても、厚生労働省の化粧品基準で配合上限が定められたうえで認められており、洗い流す製品とそれ以外で上限が異なります。
つまり日本の公的な位置づけは、「定められた量と用途であれば使用できる成分」というものです。2026年現在、EUの禁止を受けて日本で承認や基準が変更されたという情報は確認されていません。
医薬部外品の効能表現は「ふけ・かゆみを防ぐ」など承認された範囲に限られます。「脂漏性皮膚炎に効く」「頭皮の菌を殺菌して治す」といった表現は医薬品的な効能に当たり、シャンプーには認められていません。
EUで禁止された経緯
EUでは、化学物質の分類・表示に関するCLP規則のもとで、ジンクピリチオンが2020年に生殖毒性(カテゴリー1B)として分類されました。EUの化粧品規則には「CMR物質(発がん性・変異原性・生殖毒性に分類された物質)は原則として化粧品に使用できない」というルールがあり、この分類に伴って2022年3月1日から化粧品への使用が禁止されています。
この分類は主に動物試験のデータに基づくもので、シャンプーの使用によって人に健康被害が生じたことが確認されたという意味ではないとされています。実際、EUの科学委員会(SCCS)は、ふけ用シャンプーに1%まで配合する用途については安全と評価する意見を出していました。しかし、CMR物質の例外使用が認められるには「代替成分がないこと」などの条件が必要で、ピロクトンオラミンなど代替となる成分が存在することから、例外は認められなかったとされています。
要するに、EUの禁止は「予防原則に基づく制度的な判断」であり、日本の承認は「用途と量を限定した個別評価」に基づくものです。どちらか一方が間違っているというより、規制の考え方が異なる結果といえます。
注意したい人と使い方のポイント
妊娠中・授乳中の人
生殖毒性の分類を理由に禁止された経緯があるため、妊娠中や授乳中で成分の背景が気になる人は、ピロクトンオラミンなど別の有効成分を配合した製品を選ぶという考え方があります。ただし、日本で承認された用法での使用がただちに問題になるとする公的な情報はありません。判断に迷う場合は医師や薬剤師に相談してください。
頭皮に傷や炎症がある人
抗菌成分に共通する注意点として、傷や強い炎症があるとしみたり、接触皮膚炎を起こしたりする可能性があります。頭皮の状態が悪いときは皮膚科で確認してから使うことが勧められています。
海外製品を個人輸入する人
EU域内では化粧品に配合できないため、EUで流通する製品からは順次除かれています。一方、米国などでは引き続き使われています。海外製品を購入する場合は、購入先の国の基準が異なることを理解しておくとよいでしょう。
EUの禁止をもって「日本のシャンプーは危険」と断定することも、日本の承認をもって「まったく問題ない」と言い切ることも、公的情報の読み方としては正確ではありません。両方を知ったうえで、自分の状況に合わせて選ぶことが大切です。
よくある質問
- 日本で売っているジンクピリチオン入りシャンプーは使っても大丈夫ですか?
- 日本では医薬部外品の有効成分として承認されており、承認された用法での使用は認められています。ただしEUで禁止された経緯があるため、気になる人は別の有効成分の製品を選ぶという選択肢もあります。
- EUで禁止されたのは人への被害が確認されたからですか?
- 主に動物試験に基づく生殖毒性の分類と、CMR物質を化粧品に使わないという制度上のルールによるもので、シャンプー使用による人への被害が確認されたという意味ではないとされています。
- 旧表示指定成分とはどういう意味ですか?
- 2001年の全成分表示義務化以前に、皮膚障害を起こすおそれがあるとして表示が義務づけられていた成分のことです。現在は区分として廃止されていますが、注意成分の目安として参照されています。
まとめ
ジンクピリチオンは、日本では医薬部外品の有効成分として「ふけ・かゆみを防ぐ」効能が承認されている一方、EUでは2022年からCMR分類を理由に化粧品への使用が禁止されており、旧表示指定成分でもあることから、ウラミル判定は「要確認(レベル3)」です。EUの禁止は予防原則に基づく制度的判断で、日本の承認は用途と量を限定した評価に基づくものです。妊娠中・授乳中の人や頭皮に炎症がある人は、代替成分の製品や医師への相談も含めて検討してください。

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