化粧品の全成分表示の最後のほうに、「赤202」「青1」「黄4」といった、色の名前と数字を組み合わせた成分を見かけることがあります。これらは「タール色素」と呼ばれる色素の仲間で、国が使ってよい種類を定めている「法定色素」です。「タール」という言葉から石炭や道路のアスファルトを連想して、不安に感じる方もいるかもしれません。この記事では、タール色素の制度の仕組みや食品用色素との関係、名前にまつわる誤解を中立的に整理します。
30秒でわかるまとめ
| 結論 | 「赤202」「青1」などは、国が省令で種類と使用範囲を定めた合成の有機色素(タール色素)の表示名称です |
| ポイント | 番号ごとに「唇などの粘膜に使えるか」といった使える範囲が決められている/一部は食品添加物の色素と同じもの/名前の「タール」は歴史的な由来 |
| 注意したい人 | 色の濃いメイク用品でかぶれた経験がある人、特定の色素でアレルギーを指摘されたことがある人 |
タール色素とは?番号つき色素の正体
タール色素は、化学的に合成された有機色素の総称です。19世紀、石炭を蒸し焼きにしたときに得られるコールタールから取り出した成分をもとに合成染料がつくられたことから、この名前で呼ばれるようになったとされています。
日本では、医薬品・医薬部外品・化粧品に使えるタール色素は「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」で種類が決められており、一般に「法定色素」と呼ばれます。省令に載っていないタール色素は使えない、という仕組みです。
化粧品の成分表示では、「赤色202号」を「赤202」、「青色1号」を「青1」のように短く書く表示名称が使われています。色名と番号の組み合わせなので、成分表示の中でも比較的見分けやすい成分といえます。
番号ごとに「使える場所」が決まっている
省令では、タール色素が3つのグループ(別表第1〜第3)に分けられています。別表第1はすべての医薬品等に、別表第2は外用の医薬品等に、別表第3は「粘膜に使用されることがない外用の医薬品等」に限って使えるとされています。つまり同じタール色素でも、口紅など唇に使う製品に配合できるものと、できないものがあるということです。
「法定色素」は「どこにでも自由に使える」という意味ではなく、種類と使用範囲をセットで管理する制度とされています。
旧表示指定成分に含まれていた経緯
2001年に化粧品の全成分表示が義務化される前は、アレルギーなどの皮膚トラブルを起こすおそれがあるとして国が指定した「表示指定成分」を中心に表示する仕組みでした。法定色素のタール色素は、この表示指定成分にまとめて含まれていました。
背景には、過去に一部の色素やそこに含まれる不純物が、かぶれや色素沈着を伴う肌トラブルと関連づけられた事例が報告されたことなどがあるとされています。こうした経緯から、タール色素は「注意して見るべき成分」として扱われてきた歴史があります。
現在は全成分表示が基本となり、表示指定成分という区分そのものはなくなっています。ただし「旧表示指定成分フリー」「タール色素不使用」といった表示は今も見かけます。これらは特定の成分を配合していないことを示す情報で、製品全体が誰の肌にも合うことを保証するものではない点に注意が必要です。
食品用の色素との関係
食品に使われる合成着色料にも、タール色素があります。食品衛生法で食品添加物として指定されているタール色素は12種類で、「食用黄色4号」「食用青色1号」などと呼ばれています。
これらと同じ色素の一部は、化粧品の法定色素にも含まれています。たとえば化粧品の「黄4」「青1」は、食品の「黄色4号」「青色1号」と同じ色素にあたります。一方で、化粧品の法定色素には食品には使えない種類も多く、「化粧品のタール色素=食品にも使われているもの」とは限りません。
また、食品と化粧品では、口に入るのか肌にのせるのかという使われ方も、規制する法律も異なります。どちらか一方の評価をもう一方にそのまま当てはめるのではなく、用途ごとに考えるのがよいという考え方があります。
「タール=石炭のドロドロ」は誤解?
「タール」と聞くと、黒くてベタベタしたコールタールそのものが化粧品に入っているようなイメージを持つかもしれません。しかし、タール色素はコールタールをそのまま使うものではなく、原料から化学的に合成・精製された色素です。現在は石油由来の原料から合成されるものが多いとされています。
名前はあくまで歴史的な由来によるもので、製品に黒い油状のタールが含まれているわけではありません。ただし、これは「タール色素ならどれも問題ない」という意味ではありません。色素の種類によっては、まれにアレルギーなどの肌トラブルが報告されているものもあり、合わないと感じた場合は使用を控えることが大切です。
アイシャドウやリップなど色物のコスメで、かゆみや赤みが出たことがある場合は、成分表示にある色素名をメモしておくと、次に製品を選ぶときや皮膚科に相談するときの手がかりになります。
よくある質問
- 「赤202」と「赤色202号」は同じもの?
- 同じ色素です。化粧品の全成分表示では、「赤色202号」を「赤202」のように省略した表示名称が使われています。医薬部外品では「赤色202号」と書かれていることもあります。
- 「タール色素不使用」の化粧品のほうが肌にいい?
- 一概には言えません。タール色素の代わりに酸化鉄などの無機顔料や天然由来の色素が使われていることも多く、それらが合うかどうかも人それぞれです。表示は「その成分を使っていない」という情報として受け取るのがよいとされています。
- 天然由来の色素なら心配ない?
- 天然由来の色素でもアレルギーの報告があるものがあります。たとえばコチニール由来の色素(カルミン)では、アレルギーの報告があり注意喚起が行われたことがあります。由来よりも、自分の肌で過去にトラブルが出た成分かどうかを確認するほうが役立つという考え方があります。
- 成分表示の最後に「+/−」とあるのは何?
- 色違いで展開される製品で、いずれかの色に配合される可能性のある色材をまとめて表示する方法です。その後ろに並ぶ色素は、手元の色の製品に必ず入っているとは限りません。
まとめ
「赤202」「青1」などの表示は、国が種類と使用範囲を定めた合成有機色素「タール色素」の名称です。かつては表示指定成分に含まれ、今も「不使用」表示が見られますが、名前の「タール」は歴史的な由来で、コールタールそのものが入っているわけではありません。一方で合わない人もいるため、色物コスメで肌トラブルが出たことがある人は、色素名を記録して製品選びの手がかりにするのがおすすめです。

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