乳酸は、ヨーグルトや漬物などの発酵食品でもおなじみの成分です。化粧品では、製品のpHを整えたり、うるおいを保ったりする目的で幅広い製品に配合されています。一方で、ピーリングをうたう高濃度の製品では刺激が出ることもあります。配合目的によって見え方が変わる乳酸について、役割と注意点を整理します。
30秒でわかるまとめ
| ウラミル判定 | ✅ 安全レベル1/3 |
| どんな成分? | 乳酸菌の発酵などでつくられる有機酸で、AHAの一種。肌の天然保湿因子(NMF)にも乳酸塩として含まれる |
| 公的な評価 | 日本薬局方や食品添加物(酸味料など)にも名前がある、利用実績の長い成分。化粧品での個別の配合上限は設けられていない |
| 注意したい人 | 高濃度の角質ケア製品を使う人、敏感肌の人、肌荒れ中の人 |
乳酸とはどんな成分?
乳酸は、糖が分解される過程でできる有機酸です。化粧品原料としては、トウモロコシなどのでんぷんを原料に発酵させてつくられるものや、合成されたものが使われています。グリコール酸やクエン酸と同じAHA(アルファヒドロキシ酸)のグループに属します。
化粧品での主な役割は、大きく分けて次の3つとされています。
1つめはpH調整です。化粧品は処方によってpHが変わりやすく、乳酸と乳酸ナトリウムを組み合わせることで、製品の酸性度を一定の範囲に保ちやすくなります。2つめは保湿で、水分を抱え込む性質を生かしてうるおいを保つ目的で配合されます。3つめは角質ケアで、高めの濃度と低いpHで配合された場合に、古い角質をはがれやすくする目的で使われます。
天然保湿因子(NMF)との関係
肌の角層には、水分を抱え込む「天然保湿因子(NMF)」と呼ばれる成分群があります。NMFはアミノ酸を中心に、ピロリドンカルボン酸、尿素、ミネラルなどで構成されており、乳酸塩もその1割強を占めるとされています。
こうした背景から、乳酸や乳酸ナトリウムは肌になじみのある保湿成分として位置づけられることがあります。成分表示では「乳酸」「乳酸Na」と並んで書かれていることも多く、この場合はpH調整や保湿を目的とした組み合わせと考えられます。
成分表示の後半に少量入っている乳酸は、pH調整剤として使われていることが多いとされています。同じ「乳酸」でも、表示の位置や製品の目的によって役割が異なります。
ピーリング目的の高濃度では刺激に注意
ピーリングや角質ケアをうたう製品では、乳酸が比較的高い濃度で、低めのpHに調整されて配合されることがあります。乳酸はグリコール酸より分子が大きく、作用がおだやかと紹介されることもありますが、刺激の強さは濃度とpHの組み合わせで変わるため、「乳酸だから刺激が出ない」とは言い切れません。
使用中にピリピリ感や赤み、かゆみが出た場合は、使用を中止して肌を休ませましょう。また、AHA全般について、使用中と使用後しばらくは紫外線の影響を受けやすくなる可能性が指摘されています。角質ケアをした翌日は、日焼け止めなどの紫外線対策を意識しておくと安心です。
低濃度でもゼロリスクではない
pH調整や保湿目的の低濃度では、一般に刺激の心配は小さいとされています。ただし、傷や湿疹がある部分、肌荒れ中の肌では、弱い酸でもしみることがあります。気になる場合は、腕の内側などで試してから使う方法があります。
ほかの角質ケアとの重ね使い
乳酸を高めの濃度で配合した製品と、グリコール酸やサリチル酸などの酸系成分、レチノール、スクラブ洗顔などを同じ日に重ねると、刺激が強く出る可能性があります。角質ケアは「やればやるほどよい」というものではなく、やりすぎると乾燥やつっぱり感につながることもあるとされています。複数のアイテムを使う場合は、日を分ける、どれか一つに絞るなど、肌の様子を見ながら調整しましょう。
よくある質問
- 化粧品の乳酸と乳酸菌は同じもの?
- 別のものです。乳酸は乳酸菌などが糖を分解してつくる「成分」で、乳酸菌はそれをつくる「微生物」です。成分表示に「乳酸」とあっても、菌が入っているわけではありません。
- 乳酸Naとはどう違う?
- 乳酸Naは乳酸のナトリウム塩で、酸性がおだやかになった形です。乳酸と組み合わせてpHを整えたり、保湿成分として使われたりします。
- 成分表示の上の方に乳酸がある製品は?
- 比較的多く配合されている可能性があり、角質ケアを目的とした製品であることも考えられます。製品の用途や使用方法の表示を確認し、刺激を感じたら使用を中止しましょう。
- ボディ用やヘアケア製品にも入っている?
- 入っていることがあります。ボディローションやシャンプー、コンディショナーなどでも、pH調整や保湿の目的で使われるのが一般的です。気になる症状が出た場合は、ほかの成分も含めて見直してみましょう。
まとめ
乳酸はpH調整や保湿の目的で広く使われる成分で、肌の天然保湿因子にも乳酸塩として含まれています。低濃度では刺激の心配は小さいとされますが、ピーリング目的の高濃度製品では刺激が出ることもあります。赤みやヒリヒリ感が出たら中止し、角質ケア後は紫外線対策も意識しましょう。

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