白髪染めやおしゃれ染めのヘアカラーの説明書には、「染毛の48時間前に、毎回皮膚アレルギー試験(パッチテスト)を行う」よう書かれているのが一般的です。「前に使って平気だったから、今回はいいか」と省略してしまう人も多いかもしれません。なぜ毎回なのでしょうか。染毛剤の種類と、アレルギーが起こる仕組みの考え方から整理します。
30秒でわかるまとめ
| 結論 | 酸化染毛剤によるアレルギーは、これまで平気だった人にも起こる場合があるため、使うたびのパッチテストが案内されています |
| ポイント | 医薬部外品の「染毛剤」に使われる酸化染料(パラフェニレンジアミンなど)が原因成分として知られている/ヘアマニキュアなど化粧品の染毛料とは仕組みが異なる |
| 注意したい人 | 染毛後にかゆみ・赤み・腫れが出たことがある人、頭皮に傷や湿疹がある人、体調がすぐれない人 |
ヘアカラーの種類と「医薬部外品」の染毛剤
髪を染める製品は、大きく「医薬部外品の染毛剤」と「化粧品の染毛料」に分けられます。見た目は似ていても、染まる仕組みや含まれる成分が異なります。
| 種類 | 区分 | 主な仕組み |
|---|---|---|
| 酸化染毛剤(ヘアカラー・白髪染めなど) | 医薬部外品 | 1剤の酸化染料が2剤の過酸化水素で酸化され、髪の内部で発色・定着する |
| ヘアマニキュア(酸性染毛料) | 化粧品 | 酸性染料が髪の表面付近に付着する |
| カラートリートメント・カラーシャンプー | 化粧品 | 塩基性染料やHC染料が髪の表面付近に少しずつ付着する |
| 一時染毛料(カラースプレーなど) | 化粧品 | 顔料などで髪の表面をおおい、シャンプーで落ちる |
1剤と2剤を混ぜて使う酸化染毛剤は、しっかり染まり色持ちがよいとされる一方で、アレルギーの原因となりうる成分を含むことが知られています。パッチテストが特に強く案内されているのは、主にこのタイプです。
なぜ「毎回」パッチテストが必要なの?
原因として知られる酸化染料
酸化染毛剤によるアレルギーの原因として代表的なのが、パラフェニレンジアミン(PPD)、トルエン-2,5-ジアミン、パラアミノフェノールなどの酸化染料です。これらはアレルギー性接触皮膚炎の原因になることがあると報告されています。
使い続けて「突然」起こることがある
アレルギー性接触皮膚炎は、成分に繰り返し触れるうちに、体がその成分を異物として覚える(感作される)ことで起こるとされています。感作が成立するまでの期間は人によって異なり、何年も問題なく使っていた人が、ある日突然かぶれることもあるとされています。
また、一度アレルギーが成立すると、使うたびに症状が強くなる場合があるという報告もあります。消費者庁の消費者安全調査委員会も毛染めによる皮膚障害について報告書をまとめ、注意喚起を行っています。「前回平気だった」ことが「今回も平気」の保証にならない、これが毎回とされる理由です。
かゆみや赤みだけでなく、顔の腫れなど強い症状が出たという報告もあります。染毛中や染毛後に異常を感じたら、すぐに洗い流して使用を中止し、医師に相談することがすすめられています。
パッチテストの手順(説明書が基本)
パッチテストのやり方は製品ごとに説明書に書かれているため、まずはその説明に従うのが基本です。一般的には、次のような流れが案内されています。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 準備 | 使う製品の1剤と2剤を、説明書の指示どおり少量だけ混ぜる |
| 2. 塗る | 腕の内側など目立たない部位に、綿棒などで薄く塗る |
| 3. 待つ | 自然に乾かし、洗わずにそのまま48時間おく |
| 4. 観察 | 塗ってから30分程度と48時間後の2回、赤み・かゆみ・ぶつぶつなどがないか確認する |
途中でかゆみなどの異常が出た場合は、すぐに洗い流し、その製品での染毛は行わないよう案内されています。なお、パッチテストで異常がなかったとしても、染毛中や染毛後に症状が出る可能性がまったくないとは言えません。
また、多くの製品の説明書では、頭皮に傷や湿疹がある場合、体調がすぐれない場合などには使用しないよう注意書きがあります。
美容院で染める場合も、同じ仕組みの薬剤が使われることが多いです。過去に異常があった人は、予約時や施術前に伝えておくと相談しやすくなります。
ヘアマニキュアやカラートリートメントとの違い
ヘアマニキュアやカラートリートメントは化粧品に分類され、一般に酸化染料は含まれていません。そのため、酸化染毛剤でかぶれた経験がある人の選択肢として挙げられることもあります。
ただし、これらにも酸性染料(タール色素)や塩基性染料などが使われており、別の成分で合わない人もいます。また、植物由来のヘナでもアレルギーの報告があり、ヘナと表示された製品の中には酸化染料が加えられているものもあるとされています。化粧品の染毛料でも、製品によってはパッチテストが案内されているため、成分表示と説明書を確認することが大切です。
よくある質問
- 何年も同じヘアカラーを使っていても、毎回必要?
- 説明書では毎回の実施が案内されています。感作は使用を重ねる中で起こる場合があるため、長く使ってきたことは、これからも大丈夫である根拠にはならないという考え方です。
- 48時間も待てないときは?
- 待てない場合は、染毛の予定を調整するのが基本です。短時間だけで判断すると、遅れて出る反応を見逃すおそれがあるとされています。
- 一度かぶれたら、別のメーカーなら使える?
- 酸化染毛剤は、メーカーが違っても似た酸化染料が使われていることが多く、同じように反応する可能性があります。自己判断で切り替えず、皮膚科に相談することがすすめられています。
- 「ノンジアミン」と書かれていれば心配ない?
- ジアミン系の酸化染料を含まないことを示す表示ですが、ほかの成分で合わない可能性は残ります。表示だけで判断せず、説明書に沿って確認するのが無難です。
まとめ
医薬部外品の酸化染毛剤に含まれるパラフェニレンジアミンなどの酸化染料は、アレルギー性接触皮膚炎の原因となることがあり、使い続けるうちに突然起こる場合があるとされています。だからこそ、説明書では使うたびのパッチテストが案内されています。手順は製品の説明書に従い、異常が出たら使用を中止して医師に相談を。ヘアマニキュアなどは仕組みが異なりますが、合わない人がいる点は同じです。

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